撫子女学園実習施設「浅葱園」~高等部桔梗女学館館生富木光の場合~1
ここは遼か日本本土から南方へ何百キロの彼方。
中ノ鳥島の北西部。
そこに広がる傾斜地。
眞島山に設けられた実習施設「浅葱園」。
その中には立派なトレーニングスタジオが設けられていた。
磨き上げられたフローリング。
一方の壁は全面ガラス張り。
このガラス。
実はマジックミラーになっているのだった。
今、そのマジックミラーの裏側。
すなわちスタジオの中からは見通せ無い部屋。
廊下状の極めて狭い部屋。
その中はいやらしい熟年親父の熱気でむんむんとしていた。
「いやー、興奮しますな」
やや面長な顏は上品な雰意気を。
その眼鏡を掛た要貌は徴的なイメージを醸し出す筈で在った。
実際、彼は首相に就任する前。
官房長官の職に在り、その温和そうで知的な外観から戦後の政界。
指折りの名官房長官として名を知られた人物であった。
だがマジックミラーにへばり付き、鼻息を荒くし、目を血走らせた。
そんな彼の有様にかつての名官房長官の面影は微塵も感じられなかった。
涎を垂らしマジックミラーにへばりついている元首相・覆名康夫。
彼の言葉に同じく元首相・火葬太郎は顔を上げて答えた。
「全くですな、あっちに分かっているとは言え興奮しますなー」
そう言った火葬太郎の顔は左右不対象。
口は勿論、目鼻立ちも歪み切り、心の中を写している様であった。
ひねくれた口元。
だらし無く開き掛けた唇の間から漏れた涎で顎までべったりだ。
曽祖父は明治維新の大立て者。
祖父は戦後日本を支えた大物政治家。
父は当時の日本指折りの大財閥。
そんな先祖の七光りで日本国首相まで成り上がった男。
彼は高貴な血統とは掛け離れた下品さを持って、学生時代から人望が無かった。
それが優秀な弟の突然の死によって成り上がり得た人物であった。
だがやはり人望の無さは変わらず、彼の政権は一年と持たずに選挙で敗北。
首相の座からあっさりと引き摺り下ろされて締まった物であった。
再びマジックミラーの方へと向き直った火葬太郎。
彼はへばりつく様にしてマジックミラーの向こうを凝視したまま。
こう隣の人物に語りかけた。
「たまりませんな、剥紀雄君」
そう言った物の返事が無いのに不思議に思った火葬太郎。
彼が覆名元首相の立つ側とは反対側。
こちらを見た時。
相手の様子を目にした火葬太郎。
彼はつい音を立てて吹き出して締まった。
余りに必死な形相でマジックミラーにしがみ付いている。
その様子を見て締まったからである。
剥紀雄君、こと加藤山剥紀雄。
彼も又、祖父以来、代々続く政治家一家の生まれであった。
彼はいかにも深窓のお坊ちゃま。
と言った顔立ちの持ち主であった。
船頭多い与党の中では舵取りを任せて貰えない。
そう悟った剥紀雄は与党を飛び出し自身で野党を設立した。
以来、苦節うん十年。
やっとの思いで日本国首相になりあがったのである。
だが母から毎月一千万ずつお小遣いを貰っていた事が暴露され、贈与税滞納を攻撃された。
結果、彼も又、一年と持たずに首相の座から引き摺り下ろされる羽目と成って締まったのであった。
そんな加藤山剥紀雄は今、両手を突き、べったりマジックミラーに張り付いている。
彼等、三人には皆が皆、日本国の元首相である。
と言う他にも皆、政治屋の家庭に生まれたと言う事。
更に三者にもう一つの共通項があった。
それは三人が三人とも撫子女学園の常任理事である。
と言う点だった。
そして彼らが張り付いているマジックミラーの向こう。
そこでは撫子女学園高等部「桔梗女学館」所属の館生と理事長と。
二人の狂態が繰り広げられている。
その真っ最中であった。
三人の元首相達。
一時は国家の長に立った人物達。
彼等とてもここ撫子女学園内の敷地内。
そこの中では理事長の操る駒に過ぎなかったのである。
今も刺激的な狂態を目の前にしてマジックミラー越しに楽しむ事しか許されなかったのであった。
幾ら肉棒をそそり立たせ、涎を滴らせようとも。
鼻血を流し、卒倒しそうになりながら。
彼等は自分の股間の物をしごき上げる事しか許されない。
檻の中の猿に等しい存在でしか無かったのであった。
中ノ鳥島の北西部。
そこに広がる傾斜地。
眞島山に設けられた実習施設「浅葱園」。
その中には立派なトレーニングスタジオが設けられていた。
磨き上げられたフローリング。
一方の壁は全面ガラス張り。
このガラス。
実はマジックミラーになっているのだった。
今、そのマジックミラーの裏側。
すなわちスタジオの中からは見通せ無い部屋。
廊下状の極めて狭い部屋。
その中はいやらしい熟年親父の熱気でむんむんとしていた。
「いやー、興奮しますな」
やや面長な顏は上品な雰意気を。
その眼鏡を掛た要貌は徴的なイメージを醸し出す筈で在った。
実際、彼は首相に就任する前。
官房長官の職に在り、その温和そうで知的な外観から戦後の政界。
指折りの名官房長官として名を知られた人物であった。
だがマジックミラーにへばり付き、鼻息を荒くし、目を血走らせた。
そんな彼の有様にかつての名官房長官の面影は微塵も感じられなかった。
涎を垂らしマジックミラーにへばりついている元首相・覆名康夫。
彼の言葉に同じく元首相・火葬太郎は顔を上げて答えた。
「全くですな、あっちに分かっているとは言え興奮しますなー」
そう言った火葬太郎の顔は左右不対象。
口は勿論、目鼻立ちも歪み切り、心の中を写している様であった。
ひねくれた口元。
だらし無く開き掛けた唇の間から漏れた涎で顎までべったりだ。
曽祖父は明治維新の大立て者。
祖父は戦後日本を支えた大物政治家。
父は当時の日本指折りの大財閥。
そんな先祖の七光りで日本国首相まで成り上がった男。
彼は高貴な血統とは掛け離れた下品さを持って、学生時代から人望が無かった。
それが優秀な弟の突然の死によって成り上がり得た人物であった。
だがやはり人望の無さは変わらず、彼の政権は一年と持たずに選挙で敗北。
首相の座からあっさりと引き摺り下ろされて締まった物であった。
再びマジックミラーの方へと向き直った火葬太郎。
彼はへばりつく様にしてマジックミラーの向こうを凝視したまま。
こう隣の人物に語りかけた。
「たまりませんな、剥紀雄君」
そう言った物の返事が無いのに不思議に思った火葬太郎。
彼が覆名元首相の立つ側とは反対側。
こちらを見た時。
相手の様子を目にした火葬太郎。
彼はつい音を立てて吹き出して締まった。
余りに必死な形相でマジックミラーにしがみ付いている。
その様子を見て締まったからである。
剥紀雄君、こと加藤山剥紀雄。
彼も又、祖父以来、代々続く政治家一家の生まれであった。
彼はいかにも深窓のお坊ちゃま。
と言った顔立ちの持ち主であった。
船頭多い与党の中では舵取りを任せて貰えない。
そう悟った剥紀雄は与党を飛び出し自身で野党を設立した。
以来、苦節うん十年。
やっとの思いで日本国首相になりあがったのである。
だが母から毎月一千万ずつお小遣いを貰っていた事が暴露され、贈与税滞納を攻撃された。
結果、彼も又、一年と持たずに首相の座から引き摺り下ろされる羽目と成って締まったのであった。
そんな加藤山剥紀雄は今、両手を突き、べったりマジックミラーに張り付いている。
彼等、三人には皆が皆、日本国の元首相である。
と言う他にも皆、政治屋の家庭に生まれたと言う事。
更に三者にもう一つの共通項があった。
それは三人が三人とも撫子女学園の常任理事である。
と言う点だった。
そして彼らが張り付いているマジックミラーの向こう。
そこでは撫子女学園高等部「桔梗女学館」所属の館生と理事長と。
二人の狂態が繰り広げられている。
その真っ最中であった。
三人の元首相達。
一時は国家の長に立った人物達。
彼等とてもここ撫子女学園内の敷地内。
そこの中では理事長の操る駒に過ぎなかったのである。
今も刺激的な狂態を目の前にしてマジックミラー越しに楽しむ事しか許されなかったのであった。
幾ら肉棒をそそり立たせ、涎を滴らせようとも。
鼻血を流し、卒倒しそうになりながら。
彼等は自分の股間の物をしごき上げる事しか許されない。
檻の中の猿に等しい存在でしか無かったのであった。